イジワル王子に恋して


いつも自転車。
いつものように後ろに座る。

だけど
いつもなら背中にしがみつくのに
今日は違った。


その背中に…
とてつもなく緊張する。


「つかまんねぇのかよ?」

「あ…うん…///」


いつもより
控えめに腰のあたりのシャツをギュッとにぎった。


「…変なやつ。」


圭くんは舌打ちすると自転車をこぎはじめた。


心地好い風が
髪をたなびかせる。


「気持ち…」


自転車の車輪の音、段差で揺れる感じ…


なんだか
心地好くて、自然と圭くんの背中にもたれ掛かった。

あったかいなぁ…


「圭くん…あぁいうのやめてよぅ…///」

「あん?」

「学校でキスとかするの…」

みんなにバレたら
困るし…


自転車は
信号で一旦止まった。

「じゃあ、いいよ。一生しねぇから。」


圭くんはそう吐き捨てると無言で走りはじめた。