「泣か・ない・で。」

凛は手を伸ばし、俺の頬に優しく触れた。

俺はその凛の手にさらに自分の手を重ねた。
涙は止まらなかった。

俺は溢れる思いを口に出した。

「凛、君を失うのが本当に怖い・・・。

 俺はどうやって生きていけばいいんだ。」


凛はゆっくり笑った。

「大・丈・夫。羽流さん・には・音楽が・あるでしょ。
 溢れている・メロディ・が・貴方に・作られるのを・待って・いる。


 前を向いて・歩いて・ほしい。

 私の分も・生きて・ほしい。


 私の・人生は・羽流さんと・共に・あるから・・・。」


「・・・・。」


「心配・しないで。私が・いつも・見てるから。

 あの歌、私が歌った・あの歌の・ように・・・、
 羽流・さんを・見守って・いるから。」

そう言って凛が笑った。

だが、息が切れてきた。

苦しそうだった・・・。

ハッーハーッ。

「凛。」

凛の声がどんどん小さくなっていく。


目を閉じる時間が多くなった。

もう、彼女がその場所からいなくなってしまうのだと
俺は感じた。




しばらく凛が目を閉じた・・・。


俺はなんだか怖くなって、

「凛。」

と呼びかけ、彼女の眼を開けさせた。