本当は結婚という法律はどうでも良かった。
婚姻届や式も・・・。一緒にいられるのならば。

短い人生だけれど、凛に幸せだったと思ってほしい。
白いドレスを着て皆に祝福されて・・・。



・・・俺はそんなことを思っていた。


式は順調だった。
一歩ずつ歩くたびに「おめでとう。」という祝福の言葉が
凛を自然と笑顔にさせた。











次の瞬間、凛がスローモーションで倒れていく映像が俺の目に焼きついた。


0.0コンマ何秒の世界で映像がゆっくりと落ちた。



ドッサッ


さっきまで隣にいた凛が赤い絨毯の上に横たわっていた。



坂井や皆が駆け寄ってくる。


俺には声が聞こえない。


錯乱する俺の頭の中には2人の自分がいた。


目の前のことについていけず何かが止まってしまった俺、

そして、凛の声を叫びながら、ひたすら凛をゆすって起こそうとする
自分がそこにいた。




式場にはざわめきと、
自分の声とは思えないほどの叫び声が響いていた。