和やかな雰囲気が凛と、凛の父親を包んだ。

話は凛の父親が一緒にバージンロードを歩くという
ところまで盛り上がった。

しばらく話した所で凛の表情に疲れが見え始めたため、
俺たちは凛に少し休むよう言い、病室からでた。


・・・最近、凛は少しのことでも息が上がるようになってきた。


俺達は病院のソファに座った。


 すると、凛の父親が下を見て急に泣き始めた。

「・・・。なんで、なんであんないい子が・・・。
 まだ、何もしてきてないじゃないか・・・。
  
 人生だってこれからだ。

 なんでっ・・・!!」

そう言って頭を抱えている。

病室ではみせなかった顔だった。
凛の前では我慢していたのだ。


 父親でありつづける為に・・・。

唇から出血していた。
そうなるくらいまで、あの場で泣くのを堪えていたのだ。


俺は口を開いた。

「ありがとうございます。
 来てくださって、凛、本当に喜んでいました。」

「湯浅さん、ありがとうございます。
 裕子から全て聞きました。」

凛の父親は深々と俺にお辞儀した。
俺は坂井を見た。

坂井は少し首を動かし、頷いた。

「あの子を救ってくださって。あんなに愛してくださって。

 結婚まで・・・。




 あの子の人生は他の人から比べれば短いかもしれないけど、
 こんなに人に思われて幸せだ。」

そう言って少し、落ち着いた表情をみせた。