「凛。」

俺はそっと話しかけた。

「来・ない・でって言った・でしょ。」

そう言って凛は下を向いた。
前に会った時より、一層話にくそうだった。


「今日は話があってきたんだ。

 凛に聞いてほしい。」

「話?」

俺の真剣な目に凛は少し、話を聞く耳をもってくれた。

俺は凛の傍まで行き、ベットの横に座った。


俺は指輪の箱を開け、凛に見せた。

「こ・れ?」

凛は目を丸くし、驚いた顔で俺を見ている。

「凛、結婚しよう。」

じっと指輪を見つめ、目からは今にもこぼれおちそうな涙が溢れている。


「俺と結婚してください。」

そして、涙がポロポロとこぼれおちた。


俺は箱から指輪を外し、凛の細い指に指輪をはめた。

サイズは坂井に聞いていて、ピッタリだったはずなのに
やけに大きく感じるその指輪は、凛の死期が近いことを
俺に知らせた。


「羽・流さん。」

「何?」

「私、結婚できないよ。」

あまりに唐突な俺のプロポーズに少し笑いながら返した。

「だって、死んじゃうんだよ。」

大粒の涙がこぼれた。