今になればわかる、彼女の思い。
この歌に託した心の内を・・・。
俺は静かに目をつぶり、そっと眠りについた。
坂井は大阪で事務所がもつスタジオにいた。
担当の新人のレコーディング中だったのだ。
連絡はしていたのだが、内容は言わなかったし、
いつ行くかは具体的に話していなかった。
「どうしたの?」
第一声がこれだった。
「時間ある?」
「・・・あと1時間もしたら、休憩に入るわ。」
坂井は俺の真剣な眼差しをみて悟ったのか、時間を作ってくれた。
「しばらくここで聞いていく?」
坂井がそう口にした。
「なんで?」
俺はそう返した。
「もう、曲はかけるようになったんでしょ。」
そう言いながら坂井は遠い目でその新人のボーカルを見ている。
「お前も辛いんだろ?」
「えっ?」
「このボーカルがどうのこうのじゃないけど、
この子を見ていると凛をデビューさせてあげたかったって思わない?
才能は飛びぬけているから、失敗するはずはない、
どこにでもいるこんな子なんかじゃなくて、凛をって。
才能があればあるほど、なぜ凛なのかって、本当に疑問に感じるよ。」
そして俺も遠い目で答えた。
坂井は遠い目をしたまま、何も答えなかった。
この歌に託した心の内を・・・。
俺は静かに目をつぶり、そっと眠りについた。
坂井は大阪で事務所がもつスタジオにいた。
担当の新人のレコーディング中だったのだ。
連絡はしていたのだが、内容は言わなかったし、
いつ行くかは具体的に話していなかった。
「どうしたの?」
第一声がこれだった。
「時間ある?」
「・・・あと1時間もしたら、休憩に入るわ。」
坂井は俺の真剣な眼差しをみて悟ったのか、時間を作ってくれた。
「しばらくここで聞いていく?」
坂井がそう口にした。
「なんで?」
俺はそう返した。
「もう、曲はかけるようになったんでしょ。」
そう言いながら坂井は遠い目でその新人のボーカルを見ている。
「お前も辛いんだろ?」
「えっ?」
「このボーカルがどうのこうのじゃないけど、
この子を見ていると凛をデビューさせてあげたかったって思わない?
才能は飛びぬけているから、失敗するはずはない、
どこにでもいるこんな子なんかじゃなくて、凛をって。
才能があればあるほど、なぜ凛なのかって、本当に疑問に感じるよ。」
そして俺も遠い目で答えた。
坂井は遠い目をしたまま、何も答えなかった。
