坂井は、電話に対応している。



「凛が、凛の容態が急変したって。」

「えっ?」

坂井はうろたえながら病院へ行く準備をしている。


「羽流。」

俺はただ茫然と立ち尽くしていた。

「行こう。
 
 
 凛に会いに。」







俺は坂井に手を引かれるまま、病院へ向かった。





凛は集中治療室へ入っていた。

呼吸困難を起こしたらしい。


俺は窓越しに呼吸器のついた凛を見つめていた。



不思議と涙がこぼれてきた。





「・・・凛。」

俺は大切なことに気付き始めていた。

何をすべきなのか・・・。


後悔は後からできる。



今は目の前の彼女と向き合い、彼女の恐怖を救わなくてはいけない。


俺は、

俺にはやるべきことがあるのだ。



立ち止まっている余裕はなかった。