翌日、案の上、凛は風邪をひいた。
大事には至らなかったが、二日間面会謝絶だった。


俺も風邪をひいていて、その事は病院からの電話で知った。
凛を心配する気持ちで落ち着かなかったが、
ベットから起き上がることさえ出来なかった。



うなされる様な熱の中、俺は凛のことばかり考えていた。

 
 面会謝絶が解除された日、俺は久々に花束を持って病院を訪れた。
まだ、俺も全快ではなかったが、一刻も早く凛の顔が見たかった。

 凛の病室に向かおうとすると、彼女の担当ナースに声をかけられた。

少し話があるということで、俺はナースステーションの近くの個室に案内された。
凛の主治医も一緒だった。

「ご家族の方には、先日お話したのですが、
 お姉さんから、湯浅さんにも説明しておいてほしい、
 とお話を受けまして、来ていただきました。」

何やら深刻な様子だった。

そして主治医が話始めた。

「実は、結城さんの病状がさらに進行し始めまして、
 声が出しにくいという症状がでてきているんです。

 それに、痛みも・・・。
 
 モルヒネはご存じですか?
 よくテレビなどでも出てくる言葉で、
 患者さんの中でも知っている方は多いのですが・・・。」

俺はゆっくり頷いた。

医師は続けた。

「今までは他の軽めの薬で対処できていたのですが、
 痛みが増強してきていまして、本人とご家族の方にも
 了承していただいてモルヒネを使わせてもらうことになったんです。」

俺はただ、茫然と医師の話を聞いていた。


凛の声が出しにくくなる?

モルヒネ?

俺は頭の中が混乱していた。