「どうして?」

凛は驚きで目を丸くしている。

「ごめん。」

俺は謝った。ここに俺がいることは凛が望んでいることではないからだ。

「こんな姿見られたくない。会いに来ないでって言ったのに。」
凛が泣きだした。


そうなのだ。凛からの手紙には探さないでくれと書いてあった。
それをこうして会いにきているのだから、
彼女は俺を受け入れてくれなくて当たり前だった。


「ごめん。」

俺はもう一度彼女に謝った。
とにかく会いたい一心で。自分の勝手な感情で会いにきたのだから。


彼女は何も言わない・・・。


「会いたかった。」

「えっ?」

「君の気持ちを無視してまでも会いたかったんだ。
 俺のわがままだ。
 
 でも、急に消えるなよ。俺の前から。
 

 どうしようもないくらい、好きなんだよ。凛のことが。

 だから、一人で死のうなんて考えないでくれ。
 俺が傍にいるから。お前が、生きている限り、
 ずっと傍にいるから。」



彼女は真っ直ぐに俺を見ている。


 俺は駆け寄って彼女を抱きしめた。




「会いたかったの。」

俺の耳元で彼女は言った。

「えっ?」

「本当はずっと・・・。


 自分で選んだ道なのに、どうしようもなく羽流さんに会いたかった。」


俺は強く、強く彼女を抱きしめた。

心から、一緒にいることの大切さと彼女への愛しさを感じた。