自己嫌悪に陥った自分を少しでも持ち直したくて
俺は走っていたのかもしれない。


彼女がもう、この街にはいないことは、
この手紙から痛いほど伝わったのに・・・、
俺は足を止めることができなかった。


 一日中探しまわった。
太陽が月に変わるまで。とにかくひたすら。


足が攣りそうになった所でようやく俺は家に戻った。
行き場のない思いが俺の心を締め付けた。












 家に帰ると坂井が待っていた。
俺はフラフラで坂井に支えられないと立っていられないほどだった。

「羽流。」

何もかも分かっていたような坂井の顔を見ると、
俺は何も話さず、坂井と部屋に入った。

とにかく心身共に疲労感で思考回路が止まっている。


坂井は俺をソファに座らせ、コーヒーを入れた。


俺はうつむいて、頭を整理しようとした。


坂井も何も聞かなかった。
そして、しばらく二人は黙ったままだった・・・。