俺は浅い眠りについた。

深い眠りは、またあの不安が襲うと思ったからだ。

しばらくすると、目が覚めて、急に起き上った。

彼女がいるか、不安で。

・・・だが、隣には幸せそうに眠る彼女の姿があった。


俺は安心して彼女の髪をなでた。
「良かった・・・。」
俺はつい、安心して心に思っていたことを口に出してしまった。

「何が?」
凛が起きた。

「あっ、ごめん。起しちゃったか。」

「ううん。大丈夫。」
そう言って彼女は笑った。

「なにが、良かったの?」
凛は不思議そうに聞いた。

「君が、凛がここに居て。」
そう言って俺が笑うと、凛もつられて笑った。


「羽琉さん。
私、今、生きてきた中で一番幸せ。こうして羽琉さんの傍にいられて。
羽流さんに愛されて、これ以上の幸せはないと思うの。」

そう言う彼女が愛しくて、俺は彼女を強く抱きしめた。

彼女の言葉と、傍にいることの安心感、そして幸せで俺は緊張の糸が解けた。
気がつくと深い眠りに入っていたのだ。



確かに彼女を抱きしめていたはずなのに、
俺はぬくもりが消えたことにさえ気づくことができなかった。


安心していたのだ。
少しの不安はあったけれど、この夜は永遠だと思っていたから。









ふと、カレンダーをみると、坂井との約束の日を迎えようとしていた。