凛は驚いた顔をしている。

当然だ。

俺も冷静になって考えると、
自分で自分のした行動に驚いた。

「ごめん。」

出てきたセリフがこれだ。
こんな事をいいたいわけじゃないのに・・・。

気持ちを伝えなくては・・・。

俺は口を開いた。


「好きなんだ。

たぶん、凛に初めて会った時から。」

俺は正直な気持ちを彼女に伝えた。
ずっと言いたかった言葉。やっと言えた。
出会った時から、凛は俺にとって特別な存在だった。

それ以上、俺は緊張で後に続く言葉が出てこない。




すると、凛が肩を震わせ泣きだした。




俺は焦った。

「ごめん。いきなり・・・。嫌だったよな。」


愕然とした。


とっさにでた行動で、彼女を傷つけてしまったのだ。


そんな事を頭の中で繰り返し考えてる途中、
彼女が首を横に振って言った。

「ち、違うんです。」

「えっ?」

「私も、私も同じ気持で。嬉しくて。」

「えっ。」

「私も羽流さんが好きなんです。

たぶん、初めて会った時から。」

「本当に?」

彼女が頷いた。

俺たちはお互い見つめあい、笑い合った。


そして、俺はもう一度、彼女を強く抱きしめた。

愛しくて堪らない気持ちを抑えるかのようにそっと、唇にキスをした。






潮風が彼女の髪をなびかせ、沈むオレンジ色が俺達を包み込んだ。