「ありがとう。」

俺は彼女に感謝の意を述べた。

「えっ?」

「俺、いままで忘れてた。大事な気持ち。
音楽が好きなこと・・・。
締切や忙しい日々に追われる毎日で見失ってた。」

俺はなにか吹っ切れたような気持ちで彼女に話始めた。

「スランプだったんだ。
突然曲が書けなくなって、ここ半年、精神的に追い込まれてた。

そんな時、君の歌を聞いたんだ。

心が洗い流された。

そして、また君に励まされた。ありがとう。」

「いえ、私は何もしてません。」
彼女は開いた手を横に振りながら否定した。

俺はにっこり笑って彼女を仕事場に使っている防音室に案内した

「すごい。」
俺は機材とピアノ、そしてギターを見せた。

「もう一度歌ってくれないか。」
俺は彼女に頼んだ。

「えっ?」

「凛の歌声を聴いてると創作意欲が湧いてくるくるんだ。」

「私の声で?」

「そう。」

俺は彼女の声を聞いたことで何か、新しいメロディが流れ込んできた。
あれだけ、抵抗があった作曲に半年ぶりのに取り組もうとしていたのだ。

イメージはもちろん、彼女。


 すごくいい曲ができるような気がしていた。