俺は何気なく彼女に聞いてみた。

「凛、学校は?行かなくていいの?」

俺は普通の会話をしたつもりだった。
今までとなんら変わりない会話を。

だが、なぜか彼女は返答に困っていた。

「あ、あの・・・。」

凛の印象からいってとても賢そうだったし、
むしろ聞いた方が話が盛り上がるかと思っていたのだ。

彼女はうつむきながら言った。

「学校には行っていないんです。」

表情を変えずに彼女は続けた。

「今はやりたいこととか夢とか思いつかなくて・・・。」
あんなに明るかった彼女が急に表情が暗くなった。

そして俺と目を合わせようとせず、黙々と食器を棚に片付け始めた。

そんな彼女を見て俺は、やっと、
このことは彼女にとって触れてほしくない部分なのだ、と気づいた・・・。


食器が片付くと、今度は部屋の掃除を始め、
いつものように明るくふるまっているけれど、
どこか思い耽るような表情を見せ、笑顔が少なくなっていた。


何が変わったわけではないけれど、
彼女の寂しそうな顔は俺までも切なくした。


何か彼女を元気づけられることはないだろうか・・・。

俺はない頭を絞り、考えた。