それから2年の月日が流れた。

「アストレイさま、お茶が入りました」

アストレイはダニエラに呼ばれて執務室を出た。

「ありがとう」

恋人のお茶を飲みながらアストレイは心穏やかな日々を実感していた。

魔族の長として、この世界に残る魔族たちを導かなければいけない。

愛しいダニエラがいてくれる。それだけで力がわいてくる。

「勇者様たちはお元気でしょうか?」

ダニエラが不意に勇者の名前を口にした。

「どうした?」

「きちんとお礼が出来なかったんですもの。いつかお会いしてお話ししたいと思ったものですから」

勇者様も女の子なんですから、今はキレイになられているんでしょうね

とダニエラは勇者のことを話した。

「そうだな」

人の世で生きると言った少女の最後の姿は今は朧げでしかない。