旅の終わりの物語

「けれど人間は彼女のささやかな願いを壊した。強い力をもつエルを戦争へ使おうとした。それを断ると彼女を捕らえ、子を成そうとしそうです」

「子だと」

「はい。勇者の血を引く子、天竜人の血を引く子です。必ず強い力を持って生まれてくるのは必然です。無理矢理にでも子成そうとする人間をエルは皆殺しにしたそうです」


それで国が一つ滅んだということか。

「仲間達はどうしたんだ?」

仲間の中には大国の王女も、騎士もいたはずだ。

「もうかつての仲間ではなかったそうです」

リンゼイの苦い顔に全てを察した。

仲間もただの人間だということだ。

天竜人も魔族と人間にとって同じだということだ。魔族との戦いにおいては、歓迎される力でも、平和な世界では脅威であり兵器なのだろう。

だが腑に落ちない。それがなぜ大量の魔物の殺害になるというのか。