「勇者よ。礼を言わなければならないな。この借りは必ず返そう」

「うん」

少女がドラゴンを降ろした場所は、小さな町が見える草原の上だった。

「じゃあね」

「あぁ」

「ダニエラによろしくね」

「あぁ」

「さようなら」

「勇者よ。ダニエラのことは心から感謝しよう」

「うん」

「だが人間を許すことは出来ない」

「それでも良いよ」

「勇者よ。天竜族の血を引く娘、お前にもあの町で暮らす資格はある。人の好奇の目に晒されることはない」

「ありがとう。でもここには住めない」

「天空に戻るのか?」

「あそこにも戻らない。残って良いってインペリアルドラゴン様は言ってくれてるけど。私は人として生きていくよ」

「そうか。では、さらばだ。勇者よ」