ガチャ…
捺はトイレを済ませ、ドアを開けて、ゆっくり顔を外に出した。
『(悠斗がいませんように…!)』
周りを見渡すと、何処にも悠斗の姿は見当たらなかった。
安心する捺だが、何故か寂しい感覚に襲われた。
そんな時だった、キッチンの方から悠斗がひょっこり出てきた。
「あ、終わった??」
『あ、…うん』
「なっちゃん恥ずかしいと思って、ちゃーんとどっか行ってたんだよ☆」
『…そ。(…一応、気を遣ってくれてるんだ…)』
「あ、好感度アップ〜?」
『馬鹿』
すると、悠斗はコップを持ち捺の元へ歩いてきた。
「はーい、おーみーずー」
『…?』
「喉、渇いたでしょ?
お兄ちゃんは、なっちゃんのことなんでも知ってるからね☆」
『……………………ありがと』
捺は悠斗に小さくお礼を言うと、冷たい水の入ったコップを悠斗から受け取った。
捺にお礼を言われて、驚く悠斗だが、直ぐに笑いかけた。
「おうっ♪」
『…(カッコイイんだか、馬鹿なんだか)』
捺は、コップの水を一気に飲みほした。
(水が冷たくて喉が冷えた…なのに悠斗が優しくて心が温かくなった)