「…39.2度、か…」








翌日の朝。

悠斗は捺の部屋にいた。








『…』

「なっちゃん、なっちゃん。

風邪を引いたみたいだね」








―そう。
捺は、昨日濡れた髪を乾かさずにそのまま寝たのが原因で、熱を出しているのだ。








『…』

「心あたりは?」

『……………ない』








髪の毛を乾かさずに寝た。しかも、原因が叔父。
…などと、言えるものか。








「んー…。

お兄ちゃん、バイト休もうかな」

『………駄目だよ』

「だーめ!

…捺の方が、大事だから」








悠斗はそう言うと、バイト先へ連絡した。

その後、悠斗は額を冷やすものを取りに部屋から出ていった。








『…(迷惑、かけた…)』








高熱でぼんやりする頭で、捺は昨日髪を乾かさずに寝た事を、少し後悔した。














(もう迷惑はかけたくない)