由稀より遥かに背の高い慶ちゃんを、下から見上げながら睨みをきかせている。 …正直言って、迫力なんか全然ない。 でも、拗ねた由稀は一歩も引かないのだ。 いつもめんどくさい由稀が拗ねると、輪をかけてめんどくさくなる。 「…分かったよ」 やっぱり折れたのは慶ちゃんだった。 「やった♪ 連れてってくれるんだ!」 さっきまでの鬼のような形相はどこへやら、ころっと笑顔に変わっている由稀。 お茶を飲みながら、呆れ顔でそれを見つめる稜ちゃん。