そう言うと、私の手をガシッと掴んで立ち上がった。 「ちょ………っ、由稀!?」 困惑しながらも、見えた由稀のその表情は───…、 ………完全に拗ねていた。 拗ねると厄介なんだなぁ、これが。 …とにかく、由稀の機嫌を損ねるとすべてにおいて厄介なのだ。 「おい、由稀!!」 「由稀っ!!」 そう言って、慶ちゃんが私たちの前に立ちふさがった。 「…慶人、そこどいてよ」 「どかない」 「どいて」 「どかない」 「…どいて」