「でも、千夏は優しすぎる。 そんなお人好しなところも、俺は千夏の長所だと思ってるけど」 悪戯っ子のような笑みに、私も泣きながら思わず頬を緩めた。 やっぱり兄には敵わない……。 いくら家では私がお母さんのような立場でも。 やっぱり、兄は兄なのだ。 …そして、私は所詮妹は妹で。 「……泣いていいんだよ。 泣きたいだけ泣いたら、その分だけ笑いたいだけ笑えばいい。 だから、今は泣きたいだけ泣きじゃくればいい」 ふ…と、どこか哀しげに顔を歪めながら言った。