でも、きっとそれは私と瑠璃だけで。 慶ちゃんも稜ちゃんも由稀も、リュークの話に耳を傾けるのに必死だった。 「…しかし、海野は千夏の親友では……」 「……それも、嘘。 好きな人に近づくための、ね」 リュークが一瞬話すことを躊躇った。 それはほんの一瞬だったけど、きっと私に気を遣ったのだろう。 改めてすべてが偽りだったことが実感として迫り、私がショックを受けないかと。 結局は言ってしまったわけだけど…… そんな些細なことに、少し心が温かくなった。