振り返って慶ちゃんの姿を目に止めた瞬間、瑠璃がナイフを投げ捨てた。 途端に駆け出したかと思えば、慶ちゃんの元に駆け寄ると首に腕を絡ませて抱きついた。 「鮎川先生、会いたかった!」 「う…うう、海野……?」 困惑する慶ちゃんを他所に、他の3人が私に駆け寄って縄を解いてくれた。 「…どうした、この傷は」 稜ちゃんが顔を寄せて、訝しげに頬の傷を見た。 また何か由稀とリュークが騒いでいるのが聞こえる。 そんな声で、はっと我に返った。