……こんな状況で、泣いてたまるか。 瑠璃は裏切り者だ。 いくら親友だろうとそんな奴に、弱味なんて見せられない。 涙が溢れそうになるのを、上を向いてグッとこらえた。 「千夏はあたしのこと、親友だと思ってたでしょ?」 「……思ってたよ。信じてた」 「あたしのこと、全部分かってるって思ったでしょ?」 「…思ってた」 …あれは、そう遠くない記憶。 確か、今年の春休みだ。 一緒に服を買いに行って、お店に入るなり瑠璃がある服を手にとった。