「自分を捕えた相手に威嚇するなんて、さすがいい度胸。 かなりの愚か者なのね」 瑠璃の口調はいつもと変わらない。 だけど、その口から発せられるのはいつもの瑠璃からは想像のつかないものばかりだった。 「…早く放してくれない?」 「そんなの無理に決まってるじゃない。 千夏はどこまで愚かなの?」 口調こそ柔らかいままだが、漂う雰囲気は今までの気さくなものではなかった。 光の入った部屋を改めて見渡すと、ここはどこかの倉庫のようだった。