手足を縛られ胴体をイスにくくりつけられた、今の私の状態では周りの状況を手探りで知ることすらできない。 クーラーが効いている環境ではないらしく、蒸し暑い空気が充満している。 ……私を、こんな風に連れ去るような人。 私の頭に浮かんだのは、ひとりだけだった。 「…京束くん。……京束くん! いるんだよね? お願い、ここを開けて!!」 行動がとれないのなら、せめて声だけでも。 私にしては珍しく、目に涙を浮かべながらずっと叫び続けた。