「…これはやらかしてくれたね」 「ほんとにすみません……」 私が謝ったところで、事態が落ち着くわけじゃない。 そう、今この事態をおさめられるのは…… 「由稀、なんか言ってよ」 「…なんて?」 「……『みんな愛してるよーっ』、とか」 「…ちーちゃん、アイドルのコンサートじゃないんだから」 「と、とにかくみんなの注目をこっちに集められるようなことを言っ……」 ───…その瞬間だった。 舞台の際に立っていた私の足が、誰かに引きずられた。