「……稜ちゃん!」 純白のタキシードに身を包んだ我が兄が、優しく微笑んでいた。 ( 大丈夫だから。怖くないよ ) …そう言っている。 直感的にそうだと思った。 実際には、 ( 大丈夫だ。怖くなどない ) とか、いつものように堅苦しい感じなのかもしれないけど。 落ち着いた私はありがとうの意味を込めて、稜ちゃんに微笑んだ。 「キャーッ!!」 「稜介先輩だわっ」 「タキシードも素敵……!」 女子のざわめきが聞こえてきた。