「…あれ、先生知ってたんだ。 俺が三条の人間だってこと。 ご名答だね、間違いないよ。 千夏さえ手に入れば、俺は自由だ」 「なんで私が……」 「分からないの? 自分があの鮎川家の人間なのに……」 「…やめてくれ。 まだ俺以外は知らない」 慶ちゃんは悔しそうに顔を歪め、歯を食いしばっている。 ───…慶ちゃんのこんな表情、初めて見た。 いつもとは全然違う……… 「あれ、そうだったんだ? まぁ無理もないよね。 ご両親を早くに亡くしてるらしいし。 じゃあ後はお兄ちゃんに聞いて」