「…で、話ってなんですか?」 切り出したのは何故か私ではなく由稀だった。 ──…話があるという京束くんを、打ち合わせをする部屋に連れてきた。 本人曰く、人通りの多い廊下ではできない話らしい。 「ん~、これ人に話すのは初めてなんだけどさ」 茶色い髪をいじりながら、特に大切な話をする様子もなく話し出した。 「実はね、この間学祭一緒に回ろって誘ったの、俺じゃないんだよね」 「………は?」 思わず眉間に皺を寄せる。 …“俺じゃない”?