「け…慶ちゃん………っ」 「ん?着れた?」 「きっ着れてない着れてない着れてないっ!!」 慌ててドアが開かないように、ドアノブを引っ張った。 さくら先生におととい頼まれたらしいドレスの試着を、今頃私に告げるとは、慶ちゃんも肝が据わってる。 きっと慶ちゃんのことだから、さくら先生に 「試着の件は?」 と訊かれても、 「あ、忘れてました~」 とでも言っていたのだろう。 さくら先生も怒りが募っていたようで、今日の電話の件で遂に携帯を折られた。