――――え?

試作品ができた!?


あたしは驚いて厨房を見た。


爽介、貢、雫の3人が、
ひとつの調理台を囲む
ように立ってる。

その調理台には、ここから
じゃよく見えないけど、
何か完成したスイーツが
置かれてるようだった。


そして、それを見守る
パティシエ3人の様子は――
やっぱり疲れてるみたい
だけど、どこか満足感と
自信にあふれてるように見えた。


「そっか……。できたんだ」


つぶやいたあたしに、厨房
から声がかかった。――爽介だ。


「ちょうどいい。
新人、お前も来い」


「えっ、あたし?」


ちょうどいいって?

来いって、どーゆーこと?


目を丸くするあたしに、
爽介はもう一度、


「試作品、見てみて
くれって言ってんだよ。

さっさと来いって」


相変わらず上から目線の
俺様口調で、そう命令する。


なんで命令されなきゃいけ
ないのよ! ――そう言い
返してやろうかとも思ったけど。