「おっ、亜莉――じゃ
なかった、望月さん!」


新条さんもあたしに
気づくと、笑顔で手を
振りつつ厨房からこっちに
向かってくる。


「どう、もうだいぶ慣れた?」


「まあ、なんとか。

仕事は丁寧に教えて
もらってるし」


せっかくだし、ちょっと
新条さんと話するのもいいかな。


あたしは他のコには先に
行ってもらって、その場で
立ち止まる。


「そーかそーか!

蓮の教えるとおりに
こなしていけば、間違いは
ないからね!」


あたしの傍まで来た新条
さんはそう言ってハハハと
笑うと、あたしの肩を
ポンポンと叩いた。


なんか今日の新条さん、
やたらゴキゲンっぽくない?

肩、ちょっと力強すぎて
痛かったんですけど。


「なんかいいことでも
あったんですか?」


ちょっと皮肉っぽく聞いて
みたのに、新条さんはそれ
すらも気づかないで、


「いいこと?

そうだな、そりゃーいいことだ!

やっと、これっていう
新メニューの試作品が
できたんだからね!」