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5時過ぎ。


ようやく1日の仕事を
終えたあたしは、他の
上がりのコ達と一緒に
ホールを去ろうとしてた。


閉店は夜だし、営業時間が
長いから、仕事は二交替制。


ホールには、遅番のコ達
だけが残ることになる。


マッキーに聞いたところ
では、あたしもマッキーの
シフトに合わせて、遅番も
することになるらしい。


朝ゆっくり寝れるし、
そっちの方がいい気もするけど。


「お疲れ様でしたー。
お先に失礼しまーす」


何人かで続いて裏に入ると、
前を歩いてたコが厨房に
向かって挨拶した。


ホントは、パティシエ達の
上がり時間はもっと早い。

早朝から来てるから、
たしか3時とかのはずなん
だけど――例の試作のためか、
あたしより先に帰ってるのは
いまだ見たことなかった。


あたしも形だけは挨拶
しようと厨房に目を
向けたら――、


「あ、新条さん」


初日に会った以来の、
ご多忙なマネージャーが、
珍しくそこにいた。