「だから、なんか嬉しくっって♪

ヨロシクね☆」


「――よろしく」


満面のスマイルで挨拶
されたもんだから、つい
あたしも口元が緩んだ。


この咲希ってコ、馴れ馴れ
しい気もするけどイヤミな
感じがないんで、不思議と
イヤには思わないな。

ホントは、初対面の人に
ベタベタされるのって
あんま好きじゃないんだけど。


あたしの表情が緩んで
ちょっと安心したのか、
咲希はホッと息をつくと、


「ね、おせっかいかも
しれないんだけど……」


と、ややためらいがちに
話を続けてくる。


「おせっかい? ――なに?」


「うん、あのね。

あたしは離れてたから
聞こえなかったんだけど。

午前中、裏の方でちょっと
モメてたみたいだって
言ってるコがいてぇ……」


「ああ……」


そっか。


あたしと爽介の声、
ホールの方まで聞こえ
ちゃってたんだ。


まあ、けっこう大きな声
出しちゃったしな。
トーゼンといえばトーゼン。