でも――。


「行ってから、ちゃんと
話すから。

あたしが会ってほしい
人でもあるの。
一緒に、来てくれないかな?」


爽介の瞳を見て真面目に
そう伝えると、あたしの
真剣さを、爽介も察して
くれたのかもしれない。


少しの間、考えるように
黙り込んでたけど……最後
には納得した顔で、


「――わかった。行こうぜ」


そう、答えてくれた。


「ありがと! じゃぁ、こっち」


爽介の気が変わらない
うちにと、あたしはさっそく
爽介の手を引いて歩き出す。

今向かってた、JRの駅の
方向とは反対に。


「えっ、オイ、
電車じゃねーのか!?」


「面倒だからタクシーよ。
車ならすぐだから!」


後ろの爽介に向かってそう
叫びながら、すぐに道路
沿いに出てタクシーを
つかまえると、爽介を
引っ張って強引に乗り込む。


「○△ロイヤルホテルまで」


運転手に行き先を告げる
あたしの声を聞いて、爽介は
思いっきり『はっ!?』って
顔してた。


……ムリもないかな。