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「爽介――この後少し、
時間いいかな?」


飲み会が終わって、各自が
新宿のそれぞれの電車に
乗るため、駅の近くで
解散になると。


みんなを見送りながら、
さりげなくその場に残った
あたしと爽介は、今は肩を
並べてなんとなく歩いてた。


あたしが唐突に切り出した
もんだから、爽介は『えっ?』
って顔をして、


「少しって……ナンだよ?」


「ウン……ちょっと、
行きたい所があるの」


もうけっこう遅い時間だし、
きっと爽介は、あたしが
爽介の部屋に行くって
言うと思ってたに違いない。


明らかに意外そうな顔つきで、
問いを投げかけてくる。


「行きたい所って?」


「それはまぁ……行けば
わかるけど。

爽介に直接会って、
コンクールのこと祝福
したいって人がいるのよ。

その人の所」


「はぁ? 誰だよそれ??」


――うーん、予想はしてた
けど、やっぱそう来ますか

爽介の性格からして、
どこかもわかんない所に
おとなしくついてくるわけ
ないもんね。