やがて。


すべてのパーツが、きちんと
デザイン画通りの位置に
接着されて。


結合部分も、細い筆で
新たにチョコを塗り込んで、
キレイに整えられていく。


丁寧に丁寧に、細部まで
手直しして。


そうして爽介はゆっくりと、
手にしてた筆を調理台に戻した。


「―――できた」


静かな、落ち着いた声。


「手こずったけど――
ようやくここはクリアだな」


でも、その声の中に、喜び
とか安心とか感動とか――
そういうたくさんの感情が
詰まってるのが、あたし
にはわかった。


だって――ずっと隣で、
見てたんだもん。

普段通りの口調を装ったって、
あたしにはわかる。

今の爽介が、どれくらい
嬉しいか。


あたしが、こんなに
嬉しいんだから……。


「おめでと、爽介。
ホントに――お疲れさま」


鼻がツーンと痛くなって
くるのを我慢しながら、
あたしは努めて明るい声で
言った。


素直じゃないのはお互い様。


しんみりするのは恥ずかしい
から……あたしも、こんな
とこで泣いたりしない。