そのうえあたしに気を
使って、遠慮とかされたら……
なんか足まで引っ張ってる
みたいで、悲しくなるよ。

ホントはもっともっと、
爽介の役に立ちたいのに――。


「つーかもうすぐ終電か。

お前、帰れ」


「え―――!?」


よりにもよってこの
タイミングでそんなこと
言いますか!?


あたしは瞬間的に眉を
ひそめて即答してた。


「ヤダ! まだ帰んない」


「ヤダじゃねー。か·え·れ」


まただ。


昨日も、おんなじような
やり取りした。


てゆーかハッキリ言うと、毎晩。


爽介は絶対に、あたしを
終電で帰らせようとする。


自分は、もっと遅く――
たぶん午前2時くらいまで
やってるみたいなのに。


理由を聞くと、オレは
バイクだからいいんだ、
とか男だからいいんだ、とか。


あたしもタクで帰るから
かまわないって言っても、
いっこうに譲らない。


毎晩、しばらく言いあいして。


爽介があんまり怒った顔
するし、その分手が止まる
のが逆に申し訳なくなって
きて……結局、言われた通り、
あたしが帰る結果になってた。