「そんなのかまわないわよ。

タクで帰るし――爽介が
帰らないなら、あたしも
帰らない」


「アホか
女のお前が店に泊まったり
できるかよ。

それに毎晩タクって
わけにもいかねーだろ」


ムカッ。


こいつ、どこまでも折れない気?


どーしてよ? 
あたしの作品でもあるのに、
なんでこんなに拒まれ
なきゃいけないの?


あたしはロコツに困った
顔してる爽介を、改めて
キッと睨みつけてやった。


負けるもんかっつーの。


今さらそんなの、
気にしてられない。

できるとこまで、精いっぱい
やりたいんだもん。


ダメって言われたって――
おとなしく引き下がったり
しないんだから。


「ぜーったいイヤよ!

あたしも付き合う!!

帰れって言われたって、
帰らないからっ」


「~~~~~~っ!!」


あたしの剣幕にたじろいだ
みたいに、爽介が目を白黒
させて声にならない声で唸った。


顔に『どんだけ聞き分け
ないんだよ』って、
ありありと書いてある。