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「はぁ……」


無意識のうちに、長い
ため息がもれてた。


で、その直後に自分でも
ハッと気づいて、あわてて
口元に手をやる。


今は休憩中で、あたしは
マッキーと2人で休憩室に
いるところ。


遅番だから、時間は5時過ぎ。


最近になって、いよいよ
最終段階である商品の配膳の
研修に入ったから、また
マッキーと2人で行動する
ことが増えてるんだ。


「どうしたのアリィ、
ため息なんてついちゃって?」


「ん……ちょっとね……」


気にかけてくれてるのは
とってもありがたいんだけど――
さすがに、話せないな

昨日の、爽介の部屋での
出来事が頭から離れない、
なんて……。


「アンニュイだなぁ。

あ、もしかしてアレかな?
ソレイユ杯のデザインで
行き詰まってるとか?」


マッキーは新条さんから
でも聞いたのか、いつの
間にかあたしがやっぱり
爽介の誘いを受けたことを
知ってた。


でも、お店での仕事はもち
ろん通常通りやってるし、
他のバイトのコの手前も
あっておおっぴらには
してないんで、詳しい進行
具合は知らない。