そんな表情で、一歩ずつ
ゆっくりと歩いてきて……
椅子の背を挟んで、あたしの
すぐ傍に立って。


そして―――。










――スコーンッ。





……あたしは、頭頂部を
襲った中途半端な痛みに、
なんのリアクションもできずに
やっぱり硬直してた。


「え…………?」


ナニ? 

あたし今、何されたの?


瞬きも忘れてア然とする
あたしの真上から、『クッ
クック』と、噛み殺した
笑い声がもれてくる。


「……………?」


ぎこちない動作で上を向くと、
爽介が丸めた雑誌を手に、
お腹を抱えて笑いを堪えてた。


「すげーおもしれーカオ!
どんだけ動揺してんだよ」


「なっ……あ、あんた――!!」


ようやく状況が飲み込めて
きたあたしは、怒りと
恥ずかしさで一気に顔に
血が上るのが、手にとる
ようにわかる。


「……か、からかったのねっ!?」


――信じらんないっ!!

どんだけタチの悪いジョーダン!?


あ、あんなにドキドキ
したのに……!!


「人の講義中に寝るからだろが。

ま、反省しろ」