そんな不思議な錯覚が
あたしの中に広がって、
なんだか、ふわふわ空を
浮いてるような気分だった。


「だからさ、オレについて来い。

絶対、パリまで連れてってやる。
――お前のデザインで」


「――――!!」


強い意志に満ちた瞳。


見てるだけで、言ってる
こと全部信じれるような
気がしてくるから不思議。


でも、大丈夫なの、そんな
こと言って?


日本からパリに行けるのは――
選ばれた、たった2人だけ
なんだよ?


それに選ばれるのは、
きっとなまはんかな努力
じゃ難しい。


「……落ちたって……あたし、
ホントに責任とらないから……」


再び堪え切れなくなった
涙を拭いながら、あたしは
泣き笑いの顔で爽介にそう
告げた。


「だからいらねーって。

てか落ちねーし」


いつもどおりの憎まれ口が、
なぜかすごくホッとする。


まいったな。


カンペキに、魔法にかかっ
ちゃったみたいだよ、あたし。