アイコ達が来た事で雰囲気も良くなって、ミカもサトも普通に戻った。
サトの場合はいつも通りにあんまり喋らないって感じだけど。



深夜3時近くになって、アイコの隣で寝ているあたしの肩を誰かが叩いた。

重たい目蓋を開けるとサトがいた。

「何?」と聞こうとしたら、「静かに」と小声で言った。

暗闇の中、目をこらすとサトは手招きをしている。

あたしはジャージ姿のままで起き上がった。



みんなミカの家に泊まる事が多いから、高校時代のネーム入りジャージをパジャマ代わりに使っていた。誰のかがすぐわかって便利だから。


狭いダイニングを通ると、サトは玄関のドアノブに手をかけてた。

「どこ行くの?コンビニ?」

小声で聞くと首を振って「いいから早く」と言った。



外に出ると夏特有の生温い風が少し吹いてる。



「どうしたぁ?」

欠伸をしながらあたしは言った。

「うーん、さっきは悪かったと思って」

サトも背筋を伸ばしている。

「誰に?ミカに?」

「うーちんに」

「ミカには謝った方がいいと思うよ・・・?あれ?殴ったのミカだからミカが謝るのかな?」

ちょっと頭が混乱する。

そんなあたしを見てサトは声を出して笑った。

「結局誰が悪いのかわかんなかったよな。まぁ、根本はオレだけど」

「うーん、何とも言えないんじゃないかなー」

もう1回欠伸をする。

「ジャージ姿で欠伸連発されたらちょっとガッカリだね」

サトは笑いながら言った。