「そりゃそうか。いくら好きな人がいるって知ってて付き合ったとしても、その人がうららの『彼氏』なんだし、こうやってあたしの家に来てるのも面白くないだろうねー」



付き合ってみたものの、あたしはどうしてもサトが好きだし、サトだって平気で電話してくるから気持ちの整理なんてつけようがない。
だからあたしは彼氏に「別れて下さい」と何度も頭を下げた。

「お前ふざけんなよ」と言って、全く相手にしてくれない。
それどころか最近は友達とナンパに精を出してるらしいと噂で聞いてる。



「ナンパと浮気ばっかりしてるんだから別れてくれてもいいと思うんだけど」

あたしも焼きそばを食べ始める。

「意地になってるんじゃないの?サトシの方がカッコイイもんね」

「あたしはサトの顔が好きなわけじゃないんだけど」

ミカは「はいはい」と手をヒラヒラさせた。


「それはうららにしかわかんない魅力なんでしょ?何だかよくわかんないけど。サトシの事好きって子、結構いるけど、みんなサトシの顔が好きみたいよ」

「違うって!サトは顔じゃないの。優しいの、あたしの事よーくわかってるんだから。サトに『うーちん』って呼ばれてみ?ミカでも好きになっちゃうね」

「あたし『うーちん』じゃないしね。呼ばれてもキモイし。サトシって変なヤツじゃん。ボケーっとしてるし、あんまり喋んないし、何考えてるかわからん」

「まぁ、確かに変なのは認めるけどさ」

あたしの言葉にミカは笑った。

「あんたが認めたら、サトシの事マトモだって思う人誰もいないよ」

「あ、そうか。違う違う。サトは変じゃなくて個性的」

あたしも笑った。



2人でダラダラ喋ってる間に誰か来たみたいだ。

インターホンが鳴ってあたしはミカより先にドアを開けた。


「お、うららじゃん。元気か?」

サトの仲間だけど、サトはいなかった。

「元気じゃなくなった。あんたの顔見たら一気に元気失せた」

あたしはガックリと肩を落とした。


「サトシじゃなくてすいませんね」

その男の子は笑いながら入ってきた。