昔、多分23かその位の歳。

何となく見てた、怪奇現象の特集のテレビで高名な霊能者だという人が視聴者に向かって言った。


「私が今からテレビを見てるアナタに霊力を送ります。会いたい人がいるなら、その人の写真を持って会いたいと強く念じて下さい。きっと、いえ、私の霊力を通して必ず会わせます」


あたしは無我夢中でヒロの写真を探した。


しまってあった箱を乱暴に開けて、チイからもらったヒロの写真を掴むとテレビの前に座った。


強く念じれば…


あたしはヒロに会いたい、ヒロに会いたいと何度も願った。


気が付いた時にはテレビは別の番組に変わっていた。


「あはははは」

あたしは写真を放り投げて笑った。


会いにこなかったよ?
何が高名な霊能者だよ。


あたしは狂ったように笑い続けた。


笑いすぎて涙が出た。


「バッカみたい」

あたしは笑い続けた。