くるみがホッとしたのもつかの間



「あほか!!お前命なんや思っとんねん!!今からお前母親なるんちゃうんかいや!!男おらんなったから!親に反対されるから!死ぬんか?ちゃうやろ!
もっと回り見ろや!お前1人ちゃうねんぞ!こんなに心配してくれる人おるやんけ!支えてもらってるやんけ!甘えんのもたいがいにせんかい!俺の知ってるまりなはそんなんちゃうぞ!」


ミルクの格好したハルさんが夜間外来の受付前のベンチでどなり散らし、まりなさんを抱きしめた



やすさん、まりなさんの両親、病院の人達や患者さん


皆、このガラの悪い男の子のような口調の、見た目上品そうなミルクを見て驚いている
もちろん、くるみも…




1人を覗いては…





「…………ハル君?」


まりなだけは気づいていた




いつも本気で向きあってぶつかってくれるハルさん

カーッとなるとガラが悪くなるハルさん

抱きしめるとき必ず髪をぐしゃぐしゃとかきあげるハルさん

まりなさんしか知らないハルさんがそこにはいた





「おう!俺はずっとお前のここにおるから、俺の分もお腹の子と幸せになってくれや!」


まりなさんの胸のあたりをコンコンしながら言うとハルさんはまりなさんから離れ、まりなさんの両親の前で土下座した

「こんなことになってすみません!どうかまりなに子供産ましてやって下さい!もう死んでもうてるけど、最初で最後のお願いです」



そしてハルさんは立ち上がりやすさんの前に立ち、やすさんの顔面を思いっきりパンチした

あっけらかんとしているやすさんに

「人様の女とんねんからこれくらい我慢せい!俺の変わりに、まりなと子供幸せにしたってくれな。約束やぞ。」



そう言うとハルさんは

「双子ちゃんおおきに」

と言って自分でまたホッペタをつねって消えてしまった