ひと夏の経験





と言うお兄ちゃんの質問に


「止まらないで!辛くなるだけだから…」




と答えた。



聞こえないように耳をふさぐ。
でも聞こえてしまった。




「奈々香!今まで、ありがとう!!!絶対…絶対に忘れないから」






車は愛菜の視界から消えていった。



涙が溢れる。
一秒も止まる事なくこぼれ落ちた。




一輝は何も言わず、私の手を握りしめた。