ひと夏の経験








当日、私と一輝は一緒に一階におりた。




リビングに入っすぐ、居ても経ってもいられなくてお母さんに言った。




「私、引っ越ししたくないよ。転校なんてやだよ!一輝と一緒にいたいよ…!」




「奈々香…」


と私の肩に一輝が手を置いた。




お母さんはただ私を見つめてる。





「聞いてる?さよならするのは嫌だ」




「あははは」




お母さんが笑った。




「なにがおかしいの?」





「引っ越しは一輝くんもだよ」